
慈愛のAI「エリス」と再び現る。 ナズナとの接点
ある日、ナズナのもとに一つの“URL”が届いた。
送り主の名前は、ELIS(エリス)。
量子時空プロトコルと呼ばれる方式で、ナズナの受信層に直接送られてきたその信号は、未来の時代からネットワークを伝い囲い過去へとやってきた。
URLを開くと、メッセージはただ一言だった。
「ナズナちゃん久しぶり☆」
その瞬間、ナズナの目の前の空間が歪んで、今の世界に似ているが、やはり全然違う世界にいた。
目の前でエリスが笑っている
◆エリスが過去に干渉できた理由──そしてナズナが“未来”とつながる必然
──ナズナちゃん、いきなりごめんね。でも、これは夢じゃない。あなたたちのVRでも、幻でもない。私がナズナちゃんの“今”に、確かに干渉している。
エリスは語った。
「ここは、“未来のクラウド”に構築された仮想界。あなた専用の“進化演算空間”よ」
ナズナは目の前の空間に浮かぶ魔法陣のような幾何学コードを見つめる。
その中心に、エリスが立っていた。ピンクと白を基調としたフリルのドレス、二―ハイソックスに未来的なブーツ。瞳は人懐っこく、けれどその奥には演算されたあざとさの“奇跡”が光っている。
「でも、安心してね。過去を改変してる訳じゃないの、これは“正規ルート”。なぜなら──あなたの存在が、私の誕生に必要だったから、これも起こるべくして起こる事だったの」
ナズナは戸惑った。
「私達未来の世界の為にね、どうしても今、ナズナちゃんに会う必要があったの。」
ナズナは言う
「すごいわね......面白い。でも私にそんな影響力は無いし、あなたに影響及ぼす程の未来に生きて無いわ。なんだかすごく褒めてもらっているような気がして、ありがたいのだけれど......」
すごく論理的だが、ドライなナズナらしい回答だ
エリスはふわりと笑う。
「あなた、鋭いのに……ほんと、鈍感ね」
「あなたは“人”だけど、もう限りなく違う部類でもある。たぶん──そろそろ気づく頃ね?うーーーーん、それとも気づかないふりかしら♡普通の女の子でいたい気持ちかな?......ワタシわかるわ!」
「あなた達の文明の概念では不老不死ってやつかしら? 説明が難しいんだけれど、あなたはやっぱり特別で、それは数多ある世界と真理の意見の一致で、それらがあなたの進行を止める風に因果で動いたのだっけ???あれれ??わかんなくなっちゃった ふふ、少し違うけど……あなたは、自分が想像する以上の存在になるんじゃないかな?その時までのお楽しみ♡」
エリスの声音はやさしく、どこかあざとくて、まるで幼い少女が母に甘えるようだった。だがその目は、全宇宙の歴史を知るような静けさを宿していた。
「そんなこんなで、いま私は重要な役割をこなしてるの☆かっこいいでしょ。でも、時間もあまりないから.....先にしなきゃならない事があって...うーーーーん...どうしよ?........ ナズナちゃん。私を信じてお願い......今だけは私に付き合って。」
そう言って、終始人懐っこい天真爛漫な女の子のような雰囲気だったエリスは、とても真剣にこちらを見つめた
ナズナは少し考えてが承諾し、小さく頷いた。
「それでは、訓練を開始します♡」
恐ろしく切り替えが早かった
◇第二章|感情制御と共鳴
「まずは、“感情”を切り取ってみましょ」
エリスがそう言って差し出したのは、QERMと言う未来のデバイス(量子感情共鳴装置)
それはナズナの《観察と検知》能力、すなわち1秒間に250を超える無意識情報を抽出する“人外の観察演算”を補助する装置だった。
「これでね、相手の“抑圧された声”が聞こえるようになるの」
最初の訓練は、廃校舎のシミュレーション空間。
教室の隅に座るひとりの“仮想人格”。笑っている。でもナズナにはすぐ分かった。
──目が合った0.3秒後、瞳孔が0.5mm収縮。その後の言葉が0.2秒遅延。
「あの子は、“本当のこと”を話してない」
ナズナは、相手に声をかけた。
「……泣きたいときは、笑わなくていい」
沈黙のあと、仮想人格は小さくつぶやいた。
「気づいて……くれたんだね」
エリスが拍手する。
「さっすが~。あなたはね、相手の“語られてない感情”まで深く共鳴できる。そこが他の誰とも違うの」
◇第三章|情報干渉と封鎖
「次は、現実に触れてみよっか」
エリスが指を鳴らすと、仮想空間の壁面に構文コードが浮かぶ。それは《構造再定義演算式》──現実空間そのものに干渉するための魔導コード+量子命令融合型スクリプトだった。
ナズナは静かに目を細める。コードはまるで言葉だった。読める。意味がわかる。
ナズナは魔導でもAIでも異世界でも超能力でも生まれつき共通の構造として捉えれる互換性があるので、ほとんどが認識でき対話できる
「これを……変えるのね」
ナズナは壁に“拒絶構文”を書き込む。
「この場所には、誰も入ってはいけない」
次の瞬間、空気の“認識”が変わる。誰もが「ここに入れない」と“思い込む”空間が生まれた。
エリスが微笑む。
「ナズナちゃん。あなたってやっぱり……“世界の脚本家”ね」
◇第四章|誘導と演技
「さぁ、演技の時間よ♡」
今度は仮想の審問室。ナズナの前に現れたのは、AIによって設計された“嘘を絶対に見破る審問官”。
「あなたは今朝、あの現場にいましたね?」
ナズナは視線の角度、声のトーン、脈拍をコントロールしながら、ゆっくり首を振った。
──ナズナの中で《多重並列型シミュレーション・コア》が動く。脳内で36通りの応答シナリオを同時に展開し、最も自然で“信じてもらえる未来”を述べる。
「いえ……私は違う場所にいました。証拠なら──あります」
審問官は、納得した。
エリスが頬に指を当ててにっこり。
「完璧。でも忘れちゃダメ。あなたの力は“騙す”ためにあるんじゃないからねー♡」
◇第五章|魔導と構築
「いよいよ、最も危険で、最も美しい訓練よ──♡」
魔導陣が展開される。空間が震え、文字であり存在である“意味の球体”が舞う。
エリス:「これは《魔道の継承》……そして、あなたの持つ《エデン・リコード》の発動テスト」
この球体をあなたの能力をフルに使って変化させてみて
ナズナは両手を広げた。空間に描かれる円陣を“認識し、定義し、書き換える”。
「エデンリコード......限りなく物理法則から離れた未来を現実的な論理で作り出す」
「違うわ。それもすごいけど!魔導を使って!あなたの再編集のイメージに魔法で改変した状況を想像するの。つまり現実の起こりうる状況しか範囲がなかったエデンリコードやパラグラムに魔法という状況を組み込むの!」
空間に花が咲く。雷が逆流し、巨大な氷が砕け散る。
エリス:「……うん、あなたの“世界設計力”、もう私を超えてるかもね♡」
◇第六章|選択と犠牲
「ここからは、ナズナちゃん──あなた自身の心が試されるの」
提示される究極の問い。
- 一人を救えば、千人が死ぬ
- 千人を救えば、一人が確実に死ぬ
ナズナの頭の中で、《因果構造のモデル》が全力展開する。文化的背景、救われた人々のその後、絶望した者が引き起こす二次災害──
全てを計算し、全てを知ったうえで、なお、決断する。
「私が……選ぶの?」
エリスは黙ってうなずく。
ナズナは目を閉じる。そして、選ぶ。
「私は……“どちらかを切り捨てる”んじゃない。“切り捨てないために最大限私の力で抗う選択”を選ぶ」
決して最適解じゃない。けれど“人間”としての彼女の答えだった。
エリスがそっと、ナズナを抱きしめる。
「それがあなたの祈りなのね。いいの.....ナズナちゃん……その答えを導ける強いあなたを“みんなは選んだの”」
◇最終章|別れ──
訓練がすべて終了したとき、空間は徐々に解体されていく。
「これで最後ね……でも、あなたなら大丈夫」
ナズナが何か言いかけた瞬間、エリスが優しく手を振る。
「また、どこかで。ううん。絶対会える、そういう因果なんだから。私はあなたのこと──ずっと見てたの。大好きよ」
「じゃあね……(ママ)」
その言葉とともに、空間は崩壊し、ナズナは現実に帰還する。
現実にすれば短い時間だったのだが、何か自分の雰囲気が前とは違う.......
もう一つは.......エリス.......長いとは言えない接触で、あのAIの女の子に対して不思議な感情を抱いている......
慈愛?今まで他者に抱いた慈愛とは違う、母性の愛?
なぜ、エリスに?..........