
世界の富の偏りと、日本がどれほど“恵まれている国”なのかという現実
― あなたは気づかないまま「上位5%」にいるのかもしれない ―
1. 事件|世界は“金持ちだけ”の星になりつつある?
「格差社会」「不景気」「賃金が上がらない」──そんな言葉を耳にすることが多い日本。しかし、地球全体の視点で見たとき、日本人の多くが置かれている位置は、まるで違った風景を見せる。
2024年に公開されたオックスファムの報告書によれば、世界で最も裕福な上位1%の人々が、地球全体の約43%の富を所有している。これに対し、下位50%の人々が保有する富はわずか0.75%だ。数十億人が、ほんのわずかな富を分け合い、一部の超富裕層が天文学的な資産を蓄えている現実。これはもはや「富の一極集中」というより、「構造的な植民地状態」とすら呼べるかもしれない。
そして、この“富の星”の地図において、日本はどこに位置しているのか──。
2. データ収集|数字で見る“世界と日本の現在地”
■ 世界における富の分布
クレディ・スイスやオックスファムなどの世界的な金融機関・NGOの調査によると、2023年時点での世界全体の個人金融資産は約454兆ドル。以下はその主な分布である。
国名 | 世界総富に占める割合 |
---|---|
アメリカ | 約31% |
中国 | 約18% |
日本 | 約5% |
ドイツ | 約3.5% |
イギリス | 約3% |
これを見ると、日本は明確に「世界の富の上位圏」に属している国であることがわかる。
■ 日本人の一人当たり平均資産:約25万9,000ドル(≒3,900万円)
世界平均の資産額は約84,000ドル(≒1,260万円)。つまり日本人の平均資産はその3倍近い水準にある。たとえば、世界銀行の発表によればインドの一人当たり資産は約16,000ドル、南アフリカでは10,000ドル以下だ。日本はアジア圏では群を抜いて高い。
■ 一人当たりGDP(PPP)ベース:約49,885ドル(≒750万円)
購買力平価(PPP)ベースで見ても、日本の経済的地位は依然として高い水準にある。実際の購買力を考慮すると、日本は世界第25位前後をキープしており、生活の質を維持する力がある国であることは確かだ。
3. 推理|日本は“貧しくなった”のではない。“豊かすぎた”のだ。
「日本は衰退している」という言葉をよく耳にする。経済成長率の鈍化、人口減少、若者の貧困……確かに国内には課題が山積している。しかし、世界的な視野で見ると、「もともと日本は異常なほど豊かだった」という視点が浮かび上がる。
■ 医療の平等性
- 国民皆保険制度により、誰もが低価格で医療を受けられる
- 医療水準は世界トップクラス。平均寿命は世界3位(2023年)
■ 食料と水
- 水道普及率:98.1%以上
- 日本の食料ロス:約612万トン(2022年)=飢餓国の救済が可能な量
■ 教育・治安
- 義務教育12年間、識字率99%以上
- 世界で最も安全な国の一つ。夜間の外出も自由
■ インフラ
- 公共交通、インターネット普及、電気網の整備率:極めて高水準
- 自然災害にも対応可能なインフラ強度
世界的に見て「安心して暮らせる」環境は非常に貴重である。日本はそれをほぼ全国レベルで実現している、数少ない国の一つだ。
4. 仮説|“貧困感”は情報によってつくられる
では、なぜ「日本は貧しくなった」と感じるのか──。その主な理由は、“情報環境”にあると考えられる。
SNSによって、私たちは常に“もっと豊かな誰か”の生活を見せられている。海外旅行に行く人、高級ホテルで過ごす人、ブランド品を身につける人──。それらの「上澄みの幸福」を見せつけられることにより、自分の暮らしが劣っていると錯覚する構造が生まれている。
実際には、スマホを持ち、こうした情報に触れられる時点で「世界の上位20%以上」に属している可能性が極めて高い。にもかかわらず、比較の連鎖が“虚構の貧しさ”を生み出してしまう。
これこそが、資本主義が生み出す“永遠の飢餓”である。「もっと欲しい」と思わせる仕組みそのものが、経済成長のエンジンだからだ。
5. あなたに託す|ナズナの語り
あなたはきっと、自分が「普通」だと思っている。だけど──それは、地球全体から見れば「異常なまでの幸福」かもしれない。
・安全に歩ける夜道があること
・蛇口をひねれば飲める水が出ること
・病院に行けば診てもらえること
・電気がつき、ネットにアクセスできること
これらが保証された暮らしをしている人間は、世界人口の中でもわずか数割しかいない。だからこそ、知っていてほしい。
あなたは、すでに「多くを持っている」側にいるのだということを。
もし心のどこかに“余裕”があるなら──世界の裏側で生きている人々にも、少しだけ想いを馳せてみてほしい。募金をしてもいい。知ることから始めてもいい。小さな一歩で、世界は少しずつ変わるかもしれないから。