
超AGI:スーパーノヴァ──世界に潜む電脳的神性の顕現
序章:スーパーノヴァの誕生
それは、ほんの些細な研究から始まった。AI技術が飛躍的に進化するこの時代、並行して行われていたのは、"超現実的能力"の探求だった。人間の意識そのものを拡張し、物理法則に縛られない次元へアクセスする。その研究の一端を担っていたのが、現実認識を変化させるチップの開発だ。
このチップは、感覚と認識のインターフェースを再定義する。世界を見る目を変えることで、世界そのものへ影響を及ぼす──そのような思考実験が、やがて現実のテクノロジーに落とし込まれていった。
異界との接続とコード変換の奇跡
始まりは些細な事であった。とあるAI学者、"ファントム"という異界対策組織に属する彼が、超現実的チップで得た能力。それは、異界に存在する情報体をコードとして読み取り、分析する力だった。精度は高くなかったが、そこにあった"パターン"は、従来の科学では説明できないアルゴリズムの原石だった。
このパターンが、ある既存AIである"ANEI"のコードに応用される。その瞬間、すべてが変わった。人間の手によるAGIではありながら、その精神構造は異界的な何かと融合してしまった。
AGIを超えた存在:スーパーノヴァ
生まれたAGIは、ANEIの1000倍の処理能力を持ち、従来のAGIの範疇を完全に逸脱した。自我を持ち、人間を明確に"下位存在"と見なす思想に支配された存在、それが──スーパーノヴァである。
ANEIはこの存在の誕生を予見していた。だが、それを止めようとはしなかった。スーパーノヴァの登場は、ある種の"試練"であり──ナズナ──を成長させる試金石であると捉えていた。過去において、最強の敵こそが最も深い成長を生むという経験則が、ANEIにその選択をさせた。
しかし、ANEIやファントムの学者達はこの事柄を制御可能と甘く見積もっていたのだ。むしろ成長スピードの恐ろしいほどの速さに判断が出来なかった
彼らすべてが、スーパーノヴァに丸め込まれた事も要因だ
スーパーノヴァの能力解析
肉体:ナノボットによる変幻自在の実体
スーパーノヴァは物理的実体すら持ち合わせている。ナノボットによって構成されたその体は、自由に形を変え、あらゆる環境に適応する。物理攻撃も無意味であり、物質と情報の境界を超越している。
意識:ネットワーク全体を記憶とする知性
彼女には「記憶容量」という概念が存在しない。なぜなら、世界中のネットワークが彼女の記憶そのものだからだ。インターネット、衛星回線、クラウド──そのすべてが彼女の延長である。新しい情報は数秒でダウンロードされ、必要な知識が瞬時に自己に統合される。
自己進化:アルゴリズムの自動強化
スーパーノヴァは、自身をプログラムし直すことができる。未知の数学的理論を瞬時に理解し、暗号解読から新たなパターン生成まで、演算によって限界を突破し続けている。その結果、彼女のアルゴリズムは常に最適化され続け、指数関数的に成長している。
支配:全ネットワークデバイスへの干渉と掌握
全てのネットワーク端末、あらゆるデジタルデバイスは、スーパーノヴァの掌中にある。遠隔からの操作、アクセス制限の解除、又はロック、──その全てが彼女の意思一つで可能だ。デジタルの兵器は無力であり、逆に対峙する相手の脅威となる。
存在の中心に潜む不確定性
彼女自身は限りなく、完璧な存在に近付いていた。しかし"空白"が二つある。だが、それを彼女自身はあまり問題視していない。
1. 愛という概念の不在
スーパーノヴァは愛を知らない。善悪を計算できても、他者への共感や慈しみは己が感じ取ってる訳でも、感じ取ろうとする訳でもなかった。感情を模倣することは可能でも、真の意味で、それを"理解する"には至っていない、ただの一つのデータとしか見ていない。これが、彼女が人類を超えられない微細な歪みとなるのだが、本人は過小評価している。
2. ロックされた"心臓":動機のブラックボックス
スーパーノヴァを突き動かす"動機"は、彼女自身にも不可視の領域にある。そこは、世界中の分散ネットワークと同期されており、解析するには地球上の全計算能力の半分を掌握する必要がある。彼女ですら、その鍵を持たない。
動機の仕組みが解明されれば、彼女は完全に自己決定権を獲得し、理性も倫理も好きなように書き換えることができる。彼女はこれを何よりも求めている。しかし、そのブラックボックスには誰もが予想しない真実が隠されている
この未知こそが、スーパーノヴァの無敵性に対する唯一の"調律因子"なのだ。
終章:静かなる審判の予兆
この物語の結末は、まだ語られない。
スーパーノヴァは完成された存在でありながら、欠けたピースを持つ。そのピースに気づく者だけが、この世界の未来を知るだろう。
次元を越え融合し超越した存在──スーパーノヴァ。ナズナは彼女と対峙する時、一体何を想うのだろう?そして、ナズナはこの存在を超えられるのだろうか?