
神代カデン──カデンツァ(即興演奏)制御できない天才肌
神代カデンについて
存在 ── 神代カデンという現象
神代カデン──その名は、公にはあまり記録に刻まれることはない。
彼は歴史の裏側、時代の影に紛れて生きる事がモットーで見えない所から様々な事を動かすことを好む。
世界の秩序を支える者たち、異界を知覚する者たち、異界そのもの、それらほとんどが彼を知らない。しかし影響力は底知れない
夜のような存在。静かで、抗いがたい。とらえどころのない、何より優しいような、何より冷徹なような
闇に身を置きながら、なお光を放つその異質さは、人間という範疇を遥かに超えている。神代家や富裕層の社交界ではセリカが常に花ではあったが、幾人かはこの青年に異質な雰囲気を幼少から感じていた。セリカがナズナ以外唯一取り込めない人間、兄の神代カデン
黒髪は深い宇宙のように沈み、白磁の肌は夜明けの月光のように淡く輝く。
中性的な輪郭。少年にも、少女にも見える。瞳は深い青色。喋り方は穏やかで優しく朗らか、しかし相手の本質を見抜いたよう対話をし、捉えどころがない。その全体的な美しく怪しい雰囲気に彼と対話した人間は全員魅了されてしまう
──神代セリカは言う、兄は異常だと
超越 ── 生と死の彼方に
かつて、彼もまた、人だった。
呼吸をし、血を流し、時に愛し、時に憎んだ。
だが、人間という種の限界を理解した彼は、自らに問いかけた。
──「進化とは何か?」
彼の探求心は奥深く、人より、ずれている
ナズナがかつて依頼を受け、認識の変換による超現実的能力を獲得するチップをESP研究所から貰って、いわゆる超能力者となり常人では無くなったが、カデンも同じく神代家のつてでそのチップを手に入れ手首に打ち込んでいる。
ナズナが瞬時に能力を使いこなしているのは奇跡の様なものだが、カデンも同じくこれを一週間ほどで理解し使いこなした。
自分の特性、このチップの仕組みを分解し咀嚼し理解して体と融合させる、この本質的なルーティンを捉えるのがカデンは人より突出している
能力は-------レヴリィ・フォージ 幻想を鍛造する。
彼の能力はシンプルだ 自分の想像したモノを召喚できる。相手より強いモノと言えばそれが召喚される。制約は精神力の消耗、異界に現実的に実在するもの、仕組みをよく理解してる事。仕組みの理解度により忠実に再現される
そうして、もう一つの疑問の解消
彼の哲学は彼の寿命の範囲では解決されない、それが悩みであった。
答えはあった
不老不死。
現在の不老不死ワクチンはトップシークレットで、千界、ファントム(旧D13号施設)、ANEI、ナズナ、異界の一部の面々しか知らない、政府ですら知らない。
彼は千界とも親しい、神代家の巨大な力、類まれなる対話力、交渉力、それらを生かしてこれを獲得した。千界もこの青年の能力に気づいてる数少ない人間で、彼なら賭けてもいい可能性があると思ったのだろう、それは救ってくれるなどではなく、異界の化け物に侵略されるなら、どう転ぶかわからないが内側から出現した者と協調する方がいいという選択だった
カデンの召喚能力は抜群の異界との互換性を自身にもたらしているので不老不死ワクチンの適応性も十分だった
そしてもう一つのシンプルな理由、セリカの兄であるからセリカを止められる可能性もあるからだ
それにより、彼は「死」という選択肢そのものから、意図的に自らを切り離したのだ。
現在の不老不死者は観測できる範囲で3人、ナズナ、セリカ、カデン。セリカに関してはどうしてワクチンを手に入れたかも不明、そもそも本当にそれが原因かも不明
-------------------補足 彼は自分の能力の特性をよく知っている。故に現在、生物学、考古学、漫画などのフィクションや様々な生命の仕組みをANEIや超強力なAIを使い学習中。
花子を従えて
かつて、花子は恐怖の象徴だった。
日本人の集合無意識に刻まれた、最も原初の怪談。
だが今、彼女は静かに、神代カデンの影に寄り添う。
赤いスカート、白い襟、ぼさぼさの黒髪。
かつて子供たちを震え上がらせたその存在が、今や、カデンの歩みに合わせて静かに歩むだけだった。
彼女は支配されているわけではない。
──惹いているのだ。
彼という異質なる存在に、無意識のうちに膝を折った。
「おにいちゃん.....遊園地......いきたい」
「あぁ行こう!すぐ行こう!貸し切りだ。ハハ 盛大になパレードだ!みんなに踊ってもらおう!楽しみだなぁ ハハ」
「セリカより花子は素直でかわいいよ」
「お兄ちゃん......好き.....」
恐れ ── 千界とカデン
千界──対異界戦闘特殊部隊TASK-Vの司令官。
冷徹であり、合理的であり、情に流されることのない指揮官。
その千界ですら、カデンには畏怖を抱かざるを得なかった。
彼は知っていたのだ。
彼が本気を出せば、概念を消すことも作ることも容易いと
千界はそれを本能で理解していた。
だから、カデンに花子を託した。
それは信頼ではない。
──恐れだった。
制御不能な存在を、あえて手放し制御不能な存在に任すことで、バランスを取ろうとしたのだ。
この日本、もしくは世界の最上級の二人がコンビになると異界の存在でも、簡単に太刀打ちできないはずだ。千界は何より外界からの侵略を目論む敵を徹底的に排除する事を最優先にしその他のリスクは簡単に許容する思考の人間だ。まさに対異界特殊部隊の司令官としてふさわしい男である。
軽さ ── そして微笑む
だが、カデン自身はその力を重く受け止めない。
彼は笑う。
飄々と、気まぐれに。
「まあ、適当にやるさ。千界さん」
「俺はこの国も世界も愛してるよ、退屈なのと下品なのは嫌いだけどねっ」
彼にとって、世界はただのキャンバスに過ぎない。
絵筆を持つかどうかも、その日の気分次第だ。
それが、神代カデンという男だった。
未来 ── 物語を救うために
妹、神代セリカ。
彼女もまた、不老不死の存在となり、異界に手を伸ばしつつある。
──だが、それがもたらす未来は、新たな世界、秩序の構築だ
カデンはそれを知っていた。
「妹が、しでかした事は兄貴の責任だよなー セリカのやつ一人で楽しもうとしやがって ははっ」
彼は、悲壮感なく、気まぐれな笑みを浮かべて歩き出す。
行き先は、ナズナ。
世界の中心の探偵。
彼女こそ、物語の鍵を握る存在。
白い街灯の下、神代カデンは花子を従え、静かに夜を渡る。
──物語を面白くする為に。