
第一章|仕方なく、でも
数日前、千界から届いた簡素なメッセージ──
『君に関わる人間達も、今後無関係ではいられなくなる可能性がある。一度、集まってもらいたい。もし、何かあれば我々TASK-Vが助けられるように顔合わせと、慰労も兼ねて。』
ナズナは本当は部屋で休みたかったし、あまり友人達を千界に会わしたくなかったが、連日の状況を考えれば千界の案は仕方ないと思い承諾した。
温泉という言葉だけが、疲れ切った心に少しだけ救いだった。
ナズナは各面々にすぐにメールすると、皆一つ返事で承諾してくれた。
気の知れた人たちと大勢で出かけるのは初めてかもしれない
──郊外のレンタカーショップ前。
ナズナが到着すると、数人の影が待っていた。
ウズメが小さく手を挙げ、隣に結月が寄り添う。
総一郎は子犬のようにそわそわこっちを見ている。
花芽 瑠璃は上品に微笑み、何故か少し頬を赤くする。専属探偵の九条凛が相変わらず軽い雰囲気でアロハシャツを着ている
他には千界がいた。相変わらず暑苦しい格好をした男。その鋭い気迫の割に年齢は若いらしい、ナズナと瑠璃の7つぐらい上だろうか?
そして見たことない男が一人、背景になじまない様相は西洋の血が混じった色白の肌で、スラっとスーツを着こなしている。この男は何故か既視感がある。それと、その男にくっつく白いワンピースに赤いスカートの小学生ぐらいの女の子がいる.......誰だ?
ナズナはその異様な二人に目を細めた。
「全員、揃ったか?」
千界が短く言った。
「今日は皆、集まってくれてありがとう。探偵ナズナの知り合いというから一度会ってみたかったんだ、初対面で気まずいかもしれんが勘弁してくれ、今日は俺の奢りだ」
その瞬間全員の雰囲気が明るくなり、幾人かは歓声を上げている。ナズナは奢りという言葉の強さを思い知った。実は自分もすごく嬉しい。
「今日はありがとうございます。ナズナさん」ウズメが言う
「ホントホントっ俺もずっと金欠で温泉なんて、かなーり久しぶりっすよ。てかウズメちゃん久しぶり!」総一郎が笑い、ウズメも満面の笑みで返す。少し戸惑う結月にも総一郎は無害な笑顔で、にーーと笑う 結月の表情が一気に和らぐ。
花芽 瑠璃が言う「ナズナちゃんが誘ってくれるなんて感激の感激よ。二人ならもっと完璧だったけど、違う違うごめんなさい、そうじゃなくて、ナズナちゃんが大好きってことです。ナズナちゃんが選んだお友達もきっと大好きになれます!!」ものすごく早口で顔を赤らめ言う、少し失礼な事を言ったようだが誰も気にしていない、この人は悪い人じゃないと表情や喋り方でみんなが理解してる気がした
「お嬢、そんな慌てるな、みんな少し引いてるじゃねーか ははっ 俺は九条 ダンディーなイケメンの超優秀な探偵とは俺の事だ。ちびっ子ちゃん達、なんかあったら俺に言いな」九条はウズメ達に力こぶを見せつける、ウズメと結月は顔を見合わせクスクスと笑う
その後に例の背景になじまない男が言う「俺は神代カデン、こっちは妹の花子だ。千界さん以外は初めてだと思うけどよろしく。ちなみに今彼女はいないぜ!?」
そういって、神代カデンは瑠璃とナズナの方を見て眉毛をクイクイと動かし爽やかなウインクをする。その後にウズメと結月に投げキッスする、いやらしくなく仰々しく舞台俳優のように
得体の知れない男が一瞬にして場の雰囲気を取り込んだ。こいつはまるでピエロだな.......
いや......待て........は?......神代?......あの顔.....!!!!!!!セリカ!!!!!!
ナズナはいきなりの予想外の出来事に背筋全体が凍る様な感覚になった
どういうことだ?完全に血が繋がっているじゃないか!!!あの男!!!!
ナズナは訳がが分からず、カデンを二度見する。カデンはナズナの視線に気づき、こう言う
「ナズナちゃん、いきなりそんな情熱的な視線を返すなんて燃えちゃうよ.....これはまさしく運命かもしれないね ははっ」
おちゃらけるカデンをよそ目に、瑠璃と総一郎が何やらメラメラとした眼差しでカデンを凝視する、カデンの隣にいる少女はカデンをズボンをギュっギュっと引っ張り睨みつけている
「運命なんてそんな沢山無いんですよ?ナズナちゃんにはもう運命が訪れているんですから」瑠璃が訳の分からない事を言いだし、なんとなく場が沈静化した。
ナズナは千界に向き直り、ちらっと睨む。千界は今は何も聞くなとばかりにパンパンッと手を叩いて皆を次へ促した
今はいいが、後で問い詰めよう
ナズナはレンタカーショップの受付からマイクロバスのキーを受け取った。
腑に落ちないが、時間もそんなに割けないので、私は皆を車に誘導した「……行こう」
第二章|道中のぎこちなさ
車内は少しぎこちない空気に包まれていた。
千界が運転し、隣にナズナ、後部座席にはウズメと結月、総一郎、瑠璃と九条。
カデンは悠々と最後尾に座り、花子も薄い影のまま隣に座っている。
ウズメと結月は顔を見合わせ、こそこそと笑い合う。
ナズナはミラー越しに二人の無邪気な様子を見て、少しだけ肩の力を抜いた。
途中のサービスエリアで休憩を取ることに。
瑠璃がソフトクリームを買ってみんなに配り、ウズメと結月は大はしゃぎ。
総一郎は瑠璃からアイスを受け取り顔を赤らめている、相変わらず美人に弱い。
カデンは「味が平凡すぎるな」とか文句を言いつつも花子とシェアして全部食べた。
九条は自慢のアロハシャツに溢し子供みたいに大慌てだ。一番子供のおっさんだ
千界は穏やかに、しかし観察するように全員を見つめていた。
第三章|温泉宿へ
山奥の隠れ家的な温泉宿に到着したナズナ達を、夜の静かな風が迎えた。
山肌を縁取るように、数えきれない星がこぼれ、夜空に透明な川を描いている。
木造二階建ての宿は、軒先に小さな提灯を灯し、湯気をたたえた静けさに包まれていた。
玄関の硝子戸を開けると、柔らかな木の香りが鼻腔をくすぐる。
受付の女性が、微笑みながら出迎えた。
宿泊名簿に名前を書き、浴衣と手拭いを受け取る。
女子組(ナズナ、ウズメ、結月、瑠璃、花子)と男子組(総一郎、カデン、千界、九条)に分かれて部屋が割り振られた。
──湯上がりの小さな冒険
浴衣に着替え、ナズナ達は外に出た。
細い石畳の道。両脇に昔ながらの木造旅館や土産物屋が並び、湯けむりが空へと消えていく。
下駄の歯がコツコツと音を立てるたび、夜の静けさが揺れた。
湯の香り、甘酒の匂い、どこか焦がした団子の香ばしい匂いが混じり合い、懐かしさを誘う。
「すごい……ほんとに温泉街だ」
ウズメが目を輝かせ、結月が嬉しそうに笑った。
「屋台があるよ.....ウズメちゃん!!いこいこ」
「ナズナさん言っていいですか?」ウズメが待ちきれないようにナズナに尋ねる。
ナズナは微笑み頷く。
二人は手をつないで小走りに、道端の小さな屋台へ向かう。
屋台では、わたあめがふわふわと湯気のように膨らんでいた。
結月が小さなわたあめを手に取り、ウズメに一口分ちぎって渡す。
二人は笑い合いながら、もぐもぐと甘い幸せを噛みしめた。
ナズナはその様子を後ろから見守りながら、心の奥が温まるのを感じていた。
隣を歩く瑠璃は、控えめに甘酒の湯呑みを受け取り、そっと一口含む。
「ふふ、やさしい味ですね」
「ナズナちゃんとこんな場所に来れるなんて私すごく幸せよ。学生時代からずっとずっと望んでいたの」
瑠璃が微笑むと、月明かりがその頬を淡く照らした。昔と違って言動に癖のある感じではあるが、不意に見せる彼女の美は眩暈がしそうになる。
川沿いには、小さな朱塗りの橋が架かり、橋の上には連なる提灯が揺れている。
水面はゆるやかに星を映し、風が渡るたびに静かなざわめきを立てた。
「……きれい」
結月が橋の上で立ち止まり、手すりにもたれた。
ウズメも並んで、そっと結月の肩に寄り添う。
ナズナも足を止め、遠くの山並みに目を細めた。
都会では見えない満天の星。
喧騒とは無縁のこの場所に、彼女は心から癒やしを感じていた。
九条は少し離れたところで、全体を見守るように立って呟く。
「こんなんでいいだよ、人生ってのはよ」ほんの少しだけ言葉が深かった
カデンは、総一郎と花子を引き連れ何やら自販機の前で真剣にドリンクを選んでいた。
「総一郎小銭ある?」
「ありますよ!ひーふーみー30円」
「足りねーよ!」
「ねぇ......お兄ちゃん喉乾いた.....シュワシュワはやく....飲みたい」
やけに盛り上がっている。いや、いつの間にか仲良くなっている。
当たり前だ、総一郎の壁の無さは敵を作らない、あの謎の男カデンの人を取り込む能力も普通ではない。そんな二人が打ち解けないはずがない。
あの女の子に関しては恐らく人間ではないが、察知しずらい気配だ。しかしなんであれ自分より年下の女の子を疑うのは今は辞めておきたい
そんな静かな夜──
浴衣の袖を揺らしながら、ナズナ達はゆっくりと温泉宿へ戻っていった。
──静かなる湯けむりの夜
露天風呂へ向かう通路を歩くと、白く立ち上る湯気と、杉の香りが優しく包み込んだ。
温泉は岩風呂になっており、自然の地形を活かした作り。
空を見上げれば、無数の星が湯面に反射して揺れている。
体にタオルを巻き、丁寧に全身を洗い流した後、湯舟に向かう。
ナズナが気になるのは、先程から、やけに視線を感じる事だった。ウズメと結月が何やら自分を見てコソコソ話しながら顔を赤くしている。
瑠璃に至っては、余りにあからさまにナズナを凝視した後、真っ赤になり鼻血を垂らし走って脱衣所に戻っていってしまった。
スラっと伸びた手足と絹の様な綺麗で色白な肌を贅沢に躍動させながら。
その顔は何故かすごく嬉しそうだった。
ナズナは静かに湯に浸かった。
肩まで湯に沈めると、ジュワァァ……と体中の緊張がほどけていく。
まるで、溶けてしまいそうな感覚だった。
「はぁ……」
思わず漏れた小さなため息。
誰に向けたわけでもなく、ただ湯気とともに夜空に溶けた。
ウズメと結月は隣同士、湯船の縁に手を置いて、楽しそうに話している。
「次は、どこ行こうかな」
「もっと温泉巡りしたいね」
そんな小さな声のやり取りが、湯気の向こうから微かに聞こえた。
瑠璃はようやく戻ってきて湯舟に浸かった
が、やけに近い......
そして、目が怖い
大和撫子の権化みたいな彼女が目を血走らせて必死にナズナを見ている
まるで、すべて記録しているような装置みたいになってる様は、すごく滑稽だった.......でも、少し......恥ずかしい
ナズナは、湯の中で手のひらを開き、じっと見つめた。
不老不死で傷はすぐ治るが、これはまた別の治癒が働いてる気がする。そう、心の治癒だ。
(……まだ、大丈夫)
(戦える。守れる)
ナズナはそっと目を閉じた。
夜空は果てしなく広く、静かだった。
この一瞬だけは、世界が穏やかに眠っているように思えた。
やさしい湯けむりと、やさしい星明かりに包まれて──
ナズナは、ほんのわずか、微笑んだ。
第四章|星空の下で
夜、温泉のあと。
湯上がりの身体に浴衣をまとい、ナズナ達は小さな庭に集まった。
誰に言われたわけでもなく、自然と、星を見上げたくなったから。
庭には、苔むした石畳と、控えめな灯籠の灯り。
夜空には、無数の星が川のように流れていた。
空気は澄み、温泉の湯けむりの名残が、ふわりと漂っている。
ウズメと結月は、並んで手すりにもたれ、指をさしながら星座を探していた。
「ほら、あれがカシオペア座だよ」「えーどれどれ?」
そんな、楽しげな声が夜に溶けていく。
総一郎がナズナに言う
「ナズナさん、みんな良い人達ですね。俺、今日一緒に来させてもらって本当に良かったです。
ナズナさんは一人で何でもできちゃう人ですけど、僕たちも一緒に居る事忘れないでくださいね」
ナズナは総一郎の、下心の無い真っすぐな言葉を吐く瞬間が、結構好きだ。
瑠璃も続いて言う
「そうよナズナちゃん、私は味方。絶対味方、ずっと味方。なんでも話してくれないと寂しいんだから.....」
九条も言う
「姉ちゃん、最初見た頃よりずっと成長したと思うぜ。だから焦るな、探偵仲間から話は聞くが、今でも十分すげぇよ。頼って良いって言ってくれる仲間を作るのは簡単な事じゃねえんだからな」
千界もさらに続く
「意外だったよ、君はこんなに思ってくれる仲間がいたんだな。守れるようにもっと強くなれよ」
そう言って千界はフッと笑った。
他人事の様にも聞こえるが、TASK-Vの隊長で司令官の役目をずっと続けている男の発言には重みがあった。
カデンは、庭の片隅でしゃがみ込み、花子と小さな蛍を見つけていた。
「花子ー....楽しいか?」
「うん......家族.....みたい.....」
「そうか……悪くない夜みたいだな」
誰に向けたわけでもない呟き。
もはや、この二人を今に置いては問い詰める気にはなれなかった、後日で良い....。今日の彼らが嘘だとしても、私の目には今日の仲間に映った
──この穏やかな光景。
この一瞬だけは、誰もが無防備だった。
ナズナは皆の言葉で、胸の奥に引っかかる痛みを抱えていた。
(……私は知っている)
(この夜の静けさが、永遠じゃないんだ)
ナズナはきっと本当に私の為に力になってくれるのだろう。だからこそ、頼るわけにはいかない。
この人達を巻き込みたくない
ナズナは空を仰いだ。
胸に小さな痛みを抱えながら、それでも静かに、星の海を見つめた。
そして、ぎゅっと拳を握りしめた。
誰にも聞こえない声で、そっと心の中に誓った。
(──私は、守る)
(この世界も、みんなも)
夜空の星たちは、ただ静かに瞬いていた。
何も知らないみんなの笑顔を、やさしく見下ろしていた。
第五章|帰路の朝
朝、宿の窓辺には、薄く朝靄がたなびいていた。
夜明け前の冷たい空気を吸い込みながら、ナズナは一人、縁側に立っていた。
その時、背後で小さな足音がした。
振り向くと、ウズメと結月が並んで立っていた。
ウズメが言う「ナズナさん……おはようございます」
続いて結月も「おはようございますっ」
ナズナは微笑んで頷いた。二人もにこっと笑い、ナズナの隣に並ぶ。
何も言わず、ただ静かに朝の空気を吸い込んだ。
帰り道の景色
朝食は、湯豆腐、焼き魚、炊き立てのご飯、味噌汁。
素朴だが心がほどけるような朝食だった。
「湯豆腐、ふわふわです〜」ウズメが嬉しそうに言い、結月がこくこく頷く。
瑠璃が言う
「総一郎さん、湯豆腐好きなんですか?」
「いやぁ〜、こんな上品なの久しぶりっす!しみる〜!」
瑠璃はにこにこしながら皆の様子を見て、時折私ナズナをじっと見つめる。
「皆さん宜しければ、今度家のお屋敷にもいらしてください。日本料理なら一級品ですよ」
はーい、と手をあげるウズメ達。総一郎も目をキラキラさしている、彼女のいかにもお嬢様の発言にも、もう誰も違和感の一つも覚えない。
その傍ら、九条はマイペースで「朝っぱらから白飯三杯目、俺ってば健康的〜」とふざけ、千界の焼き魚を取ろうとして鋭い眼光を向けられ冷や汗を流している。
カデンと花子は静かに朝食を楽しんでいた。
「お兄ちゃん.....次も.....私....行きたい」
「そうだな、お兄ちゃんパワーで連れてってやるよ。花子が"ちゃんと”言うことを聞いたらな」
「うん......」
宿を出るとき、みんなで記念写真を撮った。
瑠璃がナズナの袖を引っ張り、「もっと寄ってください」と恥ずかしそうに言った。
カデンが「セットオン!」とタイミングを合わせ、急いでみんなに加わろうとして躓きかける。
皆はそれに心底楽しそうに笑う
その愛おしい一瞬を丁寧に切り取るようにして、シャッターは音を鳴らした
この写真は皆に配ろう、ナズナは写真立てに入れるつもりだ。宝物といえば大げさかもしれないが.....ナズナにとってはそうなのかもしれない
第六章|それぞれの帰路
市街地へ向かう車内は、出発の時よりもずっと和やかだった。
「ねぇねぇ、また皆でどこか行きたいね」
「うんっ、絶対行こう!」
ウズメと結月が楽しげに話し、瑠璃は皆と連絡先を交換している、彼女の普段の社交スキルが垣間見える
総一郎は「やっぱ旅っていいなぁ」と通り過ぎる景色を少年の様な瞳で眺める
九条は「次はハワイ行こうぜハワイ、千界さんが奢ってくれれば百人力だ!」とふざける。陽気な男だ
カデンは花子に「世界は綺麗だろ?」と意味ありげに尋ね、 花子は「.............」と無言で頷いた
---------------------------------------解散のとき、瑠璃は涙目になりながら手を振り九条と迎えの車に乗る。
「絶対また誘ってね、ナズナちゃん!」
「姉ちゃん元気でな、たまには超優秀先輩探偵の俺にも相談しろよ」
ナズナは頷く、彼女らの高級車はギラりと黒く光りそのまま発進していった
総一郎は「ナズナさん、連絡待ってますからね!」と叫びながら駅へダッシュ。
ウズメと結月は「次も絶対一緒に行きます!」と手を振って別れた。
「ナズナちゃん、また近いうちにな」とカデンは言い
花子はナズナの袖を掴み「お姉ちゃん……かわいい」とボソっとと呟いた
そして二人も静かに去って言った
残ったのは私と千界だけだった。
「騒がしいやつらばっかりだったな」と少し微笑む千界。
ナズナは笑った。
「……だからこそ、私には丁度良いんです」
静かな風が吹き抜け、空は澄んでいた。
「今日はご苦労さん、俺も帰るとするよ。カデンの件はすまなかった、後日又話す」
そういって千界は振り返らずに手だけを振ってどこかに歩き出して消えた
一人残されたナズナは、今回の旅を振り返り物思いに耽っていた
いつも一人で、行動してきたナズナにとって、今回の旅は全く別種の測れない感情を生み出していた。こういう幸せって私も感じられるんだと.....
「みんな......ありがとう」
ナズナは小さく微笑んだ